『アリータ』と原作『銃夢』との細かい違いを解説【まとめ】

アリータ
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『アリータ』と原作『銃夢』の違い<2巻編>

原作を読んだ感想/2巻目で映画のキャラ描き不足が露呈

2巻を読むと、2時間にストーリーをまとめた映画の功罪って奴が浮かんできました。

というのも、映画『アリータ』の原作漫画の『銃夢』は全巻で9巻。

原作のほうが各キャラの生い立ちや背景が丁寧に描かれているんです。敵キャラも含めて。

具体的には映画版の敵役のグリュシュカやアリータの初恋の相手・ヒューゴの描き方。

(※原作ではグリュシュカはマカク、ヒューゴはユーゴと名前が異なります)

原作のほうが各キャラの生い立ちやその行動の背景が分かるようになっていましたね。

これは本当に仕方がないのですが、原作のほうが感情移入がしやすいです。

これが、映画と原作の一番の違いかもしれません。

グリュシュカとヒューゴのそれぞれで違いについて感想を交えつつ解説します。

原作との違い/グリュシュカの過去が描かれていない。

映画版では空中都市の支配者・ノヴァの手下の一人として描かれていました。

それ以上でもそれ以下でもないただの「敵キャラ」です。でも、原作では違いましたね。

2巻ではガリィとマカクの最終決戦を描いているのですが、ここで、彼の過去が明らかに。

(※原作では主人公・アリータはガリィという名前になっています)

マカクが生まれ育ったのは空中都市の下にあるアイアンシティ…ではなく更に最下層。

旧世界の街の残骸が残り、上の街の汚物や廃棄物が垂れ流される地下の世界でした。

マカクいわく母親にドブの下に産み落とされたのだとか。

悪臭が漂う真っ暗で誰もいない世界で、たった一人生きていたことが明かされます。

そうした劣悪な環境の中で生きていたため、生きながら身体が腐る病を発症…。

誰も知らないところで生き、そして死んでいくことに、恐怖や絶望を味わっていたのです。

そんな過去があったため、サイボーグ化した以降は歪んだ形ではあるものの、

自身が存在した証を残すために、殺戮を行なうようになっていたことがわかりました。

マカクに同情、とはまではいきませんが、悲しき過去を持つキャラであることが分かり、

読者としてマカクの行動原理の背景が分かり良かったですね。

映画版ではこうした描写はありませんでした。原作との大きな違いだと思います。

原作との違い/ヒューゴがザレムに夢見る背景が描かれていない。

まずは映画に登場するヒューゴについて解説します。彼はアリータの初恋相手。

ザレム行きを夢見て、ベクターの嘘を信じて、彼のもとで裏稼業をしてました。

ただ、それが原因で賞金稼ぎから追われてしまい、瀕死の重傷を負うことに。

結果として、首より下の体を失ってしまい、サイボークになってしまいます。

映画の最後ではベクターの嘘を知り、半ば自暴自棄になったヒューゴは、

空中都市と地上を繋ぐ巨大なチューブをよじ登りザレムを目指すんです。

ただ、アリータに私と一緒に過ごしてほしいと諭されザレムを諦めるのですが、

空中都市の防衛システムにより身体を破壊されて、高高度のチューブから落下。

命を落とします。ヒューゴは、めっちゃ悲しい運命をたどった人物なんですよね。

 

原作もほぼ同じですが、原作では彼がザレム行きにこだわる背景を描いてました。

映画にはそれがない。憧れの街に行きたがっている下層世界の青年という感じ。

そのため、原作のほうが彼に感情移入することができましたね。映画との違いです。

 

ザレムにこだわるのは、彼の育ての親の存在が大きく関係していたんですよね。

育ての親で、ユーゴがあんちゃんと呼んでいた人物は、好奇心旺盛な男性。

ザレムをこの目で見たいと考え気球を作りザレムの高度まで行く計画を立てるんです。

(この世界では空中都市への侵入を防ぐため、航空機全般の開発が禁止されている)

一緒に暮らす女性はその計画に反対するものの、男性は夢を捨てず計画を進めます。

しかし、決行日の前夜に事件が起きてしまうんです。女性が彼の計画を密告…。

あんちゃんは賞金稼ぎによって殺されてしまうんですよね。

(ユーゴからこの話を聞いたガリィは、ザレムに夢見る男性に街と一緒に捨てられる。

そんな嫉妬とも寂しさとも言えない感情から彼を殺したのではないかと推察してます)

まだ幼いユーゴでしたが、女性があんちゃんを裏切ったことを知り女性のもとを離れ、

そしてストリートチルドレンとして生きる道を選びます。

そうした中、ジャンク屋であんちゃんの腕が生体部品として売られているのを発見。

彼の形見として自身の腕と交換したことがエピソードが原作では描かれていました。

 

勝手な想像ですが、あんちゃんという存在を忘れたくない。

そして、彼の夢を継きたいという思いや、彼の死体すら生体パーツとして売られる

下の世界に嫌気が指したのではないでしょうか。

あんちゃんという存在を慕う一方で、夢に敗れた彼に悲しみや怒りなどを覚え

「自分はああなりたいくない」と考えて、ザレムにこだわった気がします。

こんな風にユーゴの過去を知ると、彼がベクターのもとで裏稼業をしていた理由や

ベクターの嘘を知り、自暴自棄になる理由もすごく分かります。

繰り返しますが、映画ではそういった彼の過去までは描いていなかったため、

映画と原作で彼の結末は同じだったものの、原作のほうがより悲しかったですね。

※ユーゴの結末は原作の3巻で描かれましたが、ここでユーゴのキャラにフォーカス

したため、結末込みのレビューを行なっております。

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